大阪府守口市議会は12月21日、幼稚園の授業料や保育所の保育料を無償化する「幼児教育無償化」議案を可決した。西端勝樹市長が議案を出していた。

 市内在住の児童が、市外も含めた幼稚園や認可保育所に通園する際に適用するという。一方で、認可外施設に通園させる際は無償化の対象外とする。保護者の所得制限は設定しないとしている。

 財源については、市立保育所5ヶ所の民営化によって削減される費用などを充てるとしている。

 一見すると無償化で保護者負担が減るから、良いことのようにも見えそうではある。しかしこの措置には、重大な問題がある。

 保育所民営化では、これまで給与の問題も含めた低待遇が指摘されてきた保育士・保育職員の待遇がこれまで以上に低下する可能性があることや、延長保育や障害児対応など特別な保育への対応に手が回らなくなる可能性もあり、保育条件の低下につながることも危惧される。

 また認可外施設は、認可保育所に入れなくてやむを得ず預けている場合も多く、必要な人が恩恵を受けられないという本末転倒な状況になる可能性がある。

 守口市は「維新市政」である。維新が国政で主張している「教育費無償化」などの論理と、根は共通する形になっている。無償化そのものは一見すると喜ばしいようにみえることでも、その具体的な方法論として、とうてい見過ごせないような重大な問題があることになる。

(参考)
◎守口市が幼児教育無償化へ(NHKニュース 2016/12/21)
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